経営者向け
採用代行(RPO)の費用と比べ方|料金の形・任せる工程・向く事業所
採用代行(RPO)の費用は、料金の形と、任せる工程の範囲の2つで決まります。料金の形は、月額の定額・採用できた人数に応じた成果報酬・応募や面接の件数ごとの従量の3つに分けると比べやすくなります。同じ月額でも、求人票の作成から入職の手続きまで任せるのか、日程調整だけなのかで中身はまったく違います。
比べる相手になりやすいのが人材紹介です。厚生労働省が人材サービス総合サイトの公開情報をまとめた資料(令和6年度の実績)では、看護の紹介所の手数料率の平均は21.6%で、77.5%の紹介所が20.1〜30.0%の範囲にありました。紹介は1人採用するごとに費用がかかり、採用代行は採用人数にかかわらず月ごとに費用がかかります。どちらが安いかは、年に何人採用するかで入れ替わります。
はじめにお伝えしておくと、私たち with Nursing 採用支援(株式会社じょいなす)は、有料職業紹介の許可を持つ紹介会社で、採用代行も行っています。この記事では、両方を扱う立場から、採用代行の見積りの読み方と、紹介との比べ方を整理します。訪問看護・介護・クリニックなどで、採用の外注を検討している経営者・管理者の方に向けた記事です。
この記事でわかること
- 採用代行に任せられる工程と、事業所に残る判断
- 採用代行の料金の形と、見積りを比べる時に揃える項目
- 紹介と採用代行の費用を、同じ式で比べる方法
- 採用代行が向く事業所と、向かない事業所
Q. 採用代行(RPO)とは、何を任せるサービスなのか?
採用代行とは、求人の募集から入職までの工程の一部または全部を、外部の会社に任せる契約です。英語の Recruitment Process Outsourcing の頭文字から RPO とも呼ばれます。
医療福祉の事業所の採用は、おおむね次の8つの工程に分けられます。
- 求人情報の聴取:採用したい人の要件や、給与・勤務の条件を整理する
- 求人票の作成・出稿:求人媒体ごとに求人票を作り、掲載する
- 応募の受付・一次対応:応募者や紹介会社からの連絡に、最初の返事をする
- 日程調整:応募者と現場の都合を合わせ、見学や面接の日を決める
- 見学・面接:選考を行い、記録を残す
- 合否の連絡:結果と条件を伝える
- 入職の案内:必要な書類や初日の準備を案内する
- 辞退した人へのフォロー:辞退や不採用になった人に、時期を改めて声をかける
このうち、面接で誰を採用するかの判断と、給与などの条件の決定は、事業所に残ります。その判断に至るまでの準備と連絡、判断の後の手続きを受け持つのが採用代行です。見積りを見る時は、8つの工程のどこまでが含まれているかを最初に確かめてください。
Q. 採用代行の費用は、どんな料金の形で決まるのか?
料金の形は、次の3つに分けて考えると比べやすくなります。
| 料金の形 | 費用が決まる基準 | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| 月額の定額 | 月ごとに一定額(応募者数・求人数・拠点数の段階で決まることが多い) | 年間を通じて採用を続ける |
| 成果報酬 | 採用できた人数や、面接に進んだ人数 | 採用の時期が限られている |
| 件数ごとの従量 | 応募の対応件数、日程調整の件数など | 特定の工程だけを任せる |
このほかに、最初の設計や設定にかかる初期費用と、求人媒体に払う広告費がかかります。広告費は、採用代行の料金に含まれる場合と、実費で別に払う場合があります。見積りの総額だけでなく、どの費用がどこに含まれているかを分けて見てください。
参考までに、私たちの採用代行の料金は次の形です(いずれも税別)。
- 初期費用:1拠点目15万円、2拠点目以降は1拠点ごとに7.5万円
- 月額運用費:直近12か月の応募者数の段階で決まる定額(年30名までは月8万円、31〜60名は月12万円など)
- 媒体運用費(Indeed):媒体費の20%(下限は月3万円)
- 媒体運用費(スカウト):月2万円の定額。対象の媒体はジョブメドレーです
- 媒体の広告費そのものは実費で、料金とは別にお支払いいただきます
月額を応募者数の段階で決めているのは、事業所の採用の量に合わせるためです。同じ段階の中では、採用人数が増えても月額は変わりません。
Q. 見積りを比べる時、どこを揃えればよいのか?
見積りは会社ごとに前提が違うので、金額をそのまま並べても比べられません。次の項目を揃えてから比べてください。
- 任せる工程:8つの工程のうち、どれが含まれているか
- 月額が変わる基準:応募者数・求人数・拠点数のどれで段階が上がるか。応募者数なら、いつの時点で数えるか
- 広告費の扱い:料金に含まれるか、実費で別か。実費なら、運用の手数料が広告費の何%か
- 初期費用:何が含まれているか(求人票の作り直し、媒体のアカウント設定など)
- 契約の期間と解約:最低の契約期間、解約の申し出の期限
- 記録の持ち主:応募者の記録や選考の経過が、どのシステムに残り、解約の時に事業所へ返されるか
- 報告の形:応募数・面接数・採用数を、媒体ごと・月ごとに受け取れるか
6つ目は見落とされやすい項目です。記録が採用代行の会社のシステムにだけ残る形だと、解約した後に、どの媒体からどんな人が応募していたかが分からなくなります。記録を事業所のシステムに残すか、解約の時に一覧で受け取れる契約にしておくと安心です。
Q. 紹介と採用代行は、どちらが費用を抑えられるのか?
年に何人採用するかで入れ替わります。同じ期間(12か月)の費用を、次の式で並べてください。
- 紹介の費用 = 入職者の年収 × 手数料率 × 採用人数
- 採用代行の費用 = 初期費用 + 月額 × 12か月 + 媒体運用費 × 12か月 + 広告費
計算の例を示します。紹介の手数料率は20%と30%の2通りで計算します。冒頭で見た、看護の紹介所の8割近くが入っている範囲の両端です。そのほかの前提は、想定年収400万円、採用代行は私たちの料金で年間応募者数30名までの段階・1拠点・Indeed 運用の下限です。
| 年間の採用人数 | 紹介(手数料率20%) | 紹介(手数料率30%) | 採用代行 |
|---|---|---|---|
| 1人 | 80万円 | 120万円 | 147万円+広告費 |
| 2人 | 160万円 | 240万円 | 147万円+広告費 |
| 3人 | 240万円 | 360万円 | 147万円+広告費 |
採用代行の147万円は、初期費用15万円、月額8万円の12か月分、Indeed 運用の下限3万円の12か月分の合計です(税別)。年1人なら、どちらの率でも紹介のほうが安くなります。手数料率20%なら年2人でほぼ並び、年3人で広告費が年93万円を下回れば採用代行のほうが安くなります。手数料率30%なら、年2人の時点で、広告費が年93万円を下回る限り採用代行のほうが安くなります。
読む時に気をつけたい点が2つあります。1つ目は、紹介は採用できなければ費用がかからないのに対して、採用代行は採用できなかった月も費用がかかることです。2つ目は、手数料率と年収は事業所ごとに違うことです。自社の実際の率と、採用した人の年収で計算し直してください。
担当者の時間や、早く辞めた人の分まで含めた比べ方は、採用単価の出し方で詳しく説明しています。紹介の手数料の仕組みと相場は、看護師の紹介手数料の相場と仕組みにまとめています。
Q. 採用代行が向く事業所、向かない事業所は?
採用代行が向くのは、次のような事業所です。
- 年に2人以上を採用する予定がある
- 応募は来ているが、返事や日程調整が遅れて辞退されている
- 採用担当が管理者や事務と兼務で、採用に割ける時間が限られている
- 採用の多くを紹介に頼っていて、手数料が毎年続いている
反対に、次のような場合は、採用代行より先に別の手を打つほうが効果的です。
- 採用が年1人以下:紹介を必要な時だけ使うほうが、費用を抑えられることが多い
- 応募がほとんど来ない:連絡の速さより、求人票や条件の見直しが先。求人票の直し方は看護師・介護職の求人票の書き方にまとめています
- 誰を採用するかまで外部に決めてほしい:採用の判断と条件の決定は、事業所に残る部分です
応募が来ない原因が求人票なのか、対応の速さなのかで、打つ手が変わります。先に自社の求人と応募の状況を数字で確かめてから、採用代行を入れるかを決めると、判断を誤りにくくなります。
Q. 契約の前に、ほかに何を確かめればよいのか?
見積りの項目のほかに、次の4つを確かめておくと、契約の後の行き違いが起きにくくなります。
1つ目は、工程ごとの分担表です。「日程調整は採用代行、面接の枠の確保は事業所」のように、工程ごとに誰が何をするかを1枚にまとめてもらってください。分担があいまいだと、応募者への返事が誰からも出ない時間ができます。
2つ目は、個人情報の取扱いです。応募者の氏名や連絡先を採用代行の会社に扱わせる場合、事業所は委託先を監督する義務を負います(個人情報保護法第25条)。安全管理の方法と、契約が終わった後のデータの返却・削除の方法を、契約書で確かめてください。
3つ目は、紹介との関係です。紹介も行っている会社に採用代行を頼む場合は、その会社の紹介で入職した人に、別に紹介手数料がかかるかを確かめておきます。代行の料金と紹介の手数料が、それぞれどの契約で決まっているかを分けて見ると、費用の全体がつかみやすくなります。
4つ目は、募集の許可です。雇う側の事業所が、報酬を払って自社の職員以外の人に労働者の募集を任せる場合は、事業所が厚生労働大臣の許可を受ける必要があります(職業安定法第36条・委託募集)。求人票の作成や応募者への連絡の代行がこれに当たるかは、任せる業務の中身で変わります。契約の前に、相手がどの形で業務を受けるのか、許可や届出が要るかを確かめてください。
よくあるご質問(FAQ)
Q1. 採用代行は、1つの工程だけでも頼めますか?
頼める会社が多くあります。日程調整や応募の一次対応だけを任せる場合は、件数ごとの従量の料金になることがあります。任せる工程が少ないほど、事業所の側に残る作業が増える点も合わせて考えてください。
Q2. 採用代行を入れると、採用担当はいらなくなりますか?
いらなくはなりません。面接の実施、採用の判断、条件の決定は、事業所の側に残ります。採用担当の仕事は、連絡や調整から、判断と現場との受け入れの準備に移ります。
Q3. 採用代行の費用は、どのくらいの期間で判断すればよいですか?
最低でも6か月、できれば12か月で見るのがおすすめです。求人票の作り直しや媒体の調整には時間がかかり、最初の1〜2か月は応募が増えにくいことがあります。導入の前後で、同じ期間の採用単価を並べて判断してください。
Q4. 求人媒体の広告費は、いくら見ておけばよいですか?
職種・地域・掲載する求人の数で大きく変わるので、一律の目安はありません。見積りを取る時に、広告費を別に見込む必要があるか、見込むならいくらを想定しているかを、見積りの前提として書いてもらってください。
Q5. 紹介と採用代行は、同時に使えますか?
使えます。求人媒体からの応募を採用代行で増やしながら、急ぐ欠員だけ紹介を使う形です。その場合は、紹介で入職した人と、媒体から入職した人を分けて数え、経路ごとの採用単価を比べると、紹介に頼る割合を判断しやすくなります。
まとめ
採用代行(RPO)の費用は、料金の形(月額の定額・成果報酬・件数ごとの従量)と、任せる工程の範囲で決まります。見積りを比べる時は、任せる工程、月額が変わる基準、広告費の扱い、記録の持ち主を揃えてから並べてください。紹介と比べる時は、同じ12か月の費用を同じ式で計算すると、年に何人採用するかで有利な手段が入れ替わることが分かります。
自社の採用の費用が、紹介・媒体・担当者の時間にどれだけかかっているかを整理したい場合は、私たちの「採用費用の点検」をご利用ください。経路ごとの費用を並べ、採用代行を入れた場合と入れない場合を同じ式で比べた結果をお返しします。