経営者向け
看護師の紹介手数料の相場と仕組み|手数料率の決まり方・返戻金・公開情報の確かめ方
看護師の紹介手数料は、紹介会社があらかじめ国に届け出た「手数料表」に沿って決まるのが一般的です。この表には、法律上の率の上限がありません。率は紹介会社ごとに違います。厚生労働省の調査(医療等分野における雇用仲介事業に関する調査研究事業)では、紹介会社が答えた看護師・准看護師の手数料率の中央値は20%でした。
はじめにお伝えしておくと、私たち株式会社じょいなすは、有料職業紹介の許可を持つ紹介会社です。この記事では、紹介会社の側の事情も含めて、手数料の仕組みと、契約の前に事業所が確かめられることを整理します。訪問看護・介護・クリニックなどで、紹介会社の利用を見直したい経営者・管理者の方に向けた記事です。
この記事でわかること
- 紹介手数料が法律上どう決まっているか
- 看護師の紹介手数料の相場を、公的な調査でどう読むか
- 早く辞めた時の返戻金と、契約前に確かめること
- 紹介会社ごとの実績を、公開情報で確かめる方法
Q. 紹介手数料は、法律でどう決まっているのか?
受け取れる手数料の形は、職業安定法第32条の3で2つに限られています。
- 省令で決められた種類と額の手数料
- あらかじめ厚生労働大臣に届け出た手数料表に基づく手数料
1つ目は、職業安定法施行規則の別表で額が決められています。求人を出した事業所から受け取れるのは、紹介した人に支払われた賃金の額の100分の11(11%)までです。6か月を超えて雇用された場合は、6か月分の賃金が基準になります。期間の定めのない雇用で6か月を超えた場合は、別の計算(100分の14.8)を選べます。
2つ目の手数料表には、法律上の率の上限がありません。手数料の種類や額を決めた表を国に届け出れば、その表に沿って手数料を受け取れます。看護師の紹介で年収に対する率で手数料を決めているのは、こちらの形です。
なお、紹介会社は原則として、求職者(看護師本人)からは手数料を受け取れません。手数料を払うのは、求人を出した事業所です。
Q. 看護師の紹介手数料の相場は、どのくらいなのか?
公的な数字として参考になるのは、厚生労働省の「医療等分野における雇用仲介事業に関する調査研究事業」の報告書(2026年3月)です。この調査で紹介会社が答えた手数料率の中央値は、次のとおりでした。
| 職種 | 手数料率の中央値 |
|---|---|
| 医師 | 20% |
| 看護師・准看護師 | 20% |
| 介護職員 | 20% |
| 保育士・保育教諭 | 25% |
この厚生労働省の調査では、看護師・准看護師の手数料額の中央値は64.5万円でした。
読む時に気をつけたい点が3つあります。1つ目は、紹介会社の自己申告をまとめた中央値で、平均ではないことです。2つ目は、厚生労働省の調査での紹介会社の有効回収率が15.9%で、すべての紹介会社を表す数字ではないことです。3つ目は、報告書に「何に対する率か」の定義が書かれていないことです。
個別の契約で、手数料を入職者の想定年収に対する率で決める場合は、同じ率でも、想定年収に賞与や手当を含めるかで金額が変わります。率だけで比べず、計算の基準になる年収の定義まで確かめてください。
Q. 紹介会社ごとの手数料は、どこで確かめられるのか?
厚生労働省の「人材サービス総合サイト」で、紹介会社ごとの実績を見られます。次の情報は、インターネットで公開することが紹介会社に義務づけられています。
- 紹介で就職した人の数
- そのうち、採用後6か月以内に離職した人の数
- 手数料に関する事項(手数料表・手数料の実績)
- 返戻金制度の有無と内容
2025年4月1日からは、職種ごとの平均手数料率の実績も載るようになりました。これは、職種ごとに「求人者から受け取った手数料の総額」を「求職者の予定年収の総額」で割った率です。対象は、各紹介会社の実績が多い上位5職種で、実績が少ない会社は載せなくてよいことになっています。
厚生労働省がこの公開情報をまとめた資料(令和6年度の実績・2025年10月末時点の掲載分)では、看護の紹介所の手数料率の平均は21.6%でした。77.5%の紹介所が20.1〜30.0%の範囲に入り、30%を超える紹介所は0.5%でした。この平均は紹介所ごとの率をそのまま平均したもので、就職件数の多い紹介所ほど重く数える計算ではありません。
サイトに載る率は、その紹介会社の実績全体の平均なので、自社が個別に結ぶ契約の率とは違うことがあります。それでも、複数の紹介会社を同じ物差しで比べる手がかりになります。早く辞めた人の数も、紹介の質を考える材料の1つです。
Q. 早く辞めた時の返戻金は、どう決まっているのか?
返戻金は、紹介で入職した人が早く辞めた時に、受け取った手数料の全部または一部を事業所に返す仕組みです。返戻金制度に関する事項は、紹介会社が求人の申込みを受けた後、速やかに事業所へ明示しなければならない事項の1つです(職業安定法施行規則第24条の5)。
返戻金の期間や率は、法律で一律には決められておらず、紹介会社ごとに違います。先ほどの厚生労働省の調査では、返戻金制度がある紹介会社は91.0%でした。
契約の前には、次の点を確かめておくと、後から行き違いが起きにくくなります。
- 何か月以内の退職なら返金されるか
- 在籍した月数に応じて、返金の割合がどう変わるか
- 本人の自己都合・事業所の都合など、返金の対象になる理由と、ならない理由
- 返金の請求の手順と期限
医療・介護・保育の分野には、国の基準を満たした紹介会社を「適正な有料職業紹介事業者」として認定し公表する制度もあります。選ぶ時の目安の1つになります。
Q. 契約の前に、ほかに何を確かめればよいのか?
手数料と返戻金のほかに、次の点を契約書と手数料表で確かめておくことをおすすめします。
- 手数料の計算の基準になる年収に、賞与・各種手当・残業代を含めるか
- 手数料を払うタイミング(入職日か、入職後の一定期間後か)
- 紹介された人を、別の経路で採用した場合の扱い
3つ目に関わるのが違約金です。紹介会社が事業所に対して違約金の規約を設けている場合、2025年4月1日以降の求人の申込みからは、違約金の額・発生する条件・解除の方法を含む契約の内容を、事業所にあらかじめ明示することになりました(厚生労働省の職業紹介事業者向けリーフレット)。説明を受けていない規約があれば、契約の前に確かめてください。
Q. 紹介会社に求人を出す時、事業所は何を伝えておけばよいのか?
紹介会社に求人を申し込む時も、事業所には労働条件を明示する義務があります(職業安定法第5条の3)。紹介会社から看護師に伝わる情報は、事業所が出した求人の情報がもとになります。条件の書き方が粗いと、紹介された人と面接してから条件が合わないと分かり、事業所と求職者の両方の時間が無駄になります。
伝えておきたいのは、次の3つです。
- 労働条件:業務と就業場所の変更の範囲を含め、求人票と同じ項目をそろえる
- 働き方の具体:オンコールの回数の目安、1日の訪問件数の目安、教育の体制
- 求める人:経験の領域(小児・精神・終末期など)、必須の資格、採用を急ぐ理由
求人票の書き方は、看護師・介護職の求人票の書き方で詳しく説明しています。
紹介された人への返事の速さも、結果を左右します。紹介会社は同じ看護師を複数の事業所に紹介していることがあり、返事が遅いと先に別の事業所で決まります。書類を受け取ってから面接の日程を返すまでの期限を、事業所の中で決めておくと取りこぼしが減ります。
Q. 紹介手数料の負担を減らすには、どうすればよいのか?
紹介を使わないことを目標にするより、紹介に頼る割合を下げる考え方が現実的です。人手が急に足りない時や、経験者を早く採りたい時には、紹介は役に立ちます。
負担を減らすために、事業所の側でできることは次のとおりです。
- 経路ごとの採用単価を出し、紹介とほかの経路を同じ物差しで比べる
- 求人票を直し、求人媒体や自社のホームページからの応募を増やす
- 応募への返信や面接の日程調整を早め、自社に来た応募を取りこぼさない
- 紹介を使う時は、手数料の基準になる年収の定義と返戻金の条件を交渉する
1つ目の比べ方は、採用単価の出し方で詳しく説明しています。紹介の手数料は1人ごとに大きく見えますが、採用できなければ費用がかからない点も含めて比べると、判断を誤りにくくなります。
よくあるご質問(FAQ)
Q1. 紹介手数料の率は、交渉できますか?
手数料表の範囲で、紹介会社と相談できる場合があります。率そのものより、計算の基準になる年収の定義や返戻金の条件のほうが、話し合いの余地があることもあります。
Q2. 手数料表は、どうすれば見られますか?
紹介会社には、手数料表を事業所内に掲示する、インターネットで公開するなどの方法で、情報を提供する義務があります(職業安定法施行規則第24条の5)。人材サービス総合サイトでも確かめられます。契約の前に、担当者に手数料表そのものを見せてもらうのが確実です。
Q3. 看護師本人が、紹介会社に手数料を払うことはありますか?
原則としてありません。職業安定法第32条の3により、紹介会社は求職者から手数料を受け取れないのが原則で、手数料を払うのは求人を出した事業所です。
Q4. 紹介で入職した人が試用期間中に辞めた場合はどうなりますか?
返戻金の対象になるかどうかは、紹介会社の返戻金制度によります。返金の対象期間と、退職の理由による扱いの違いを、契約の前に確かめておいてください。
Q5. 紹介会社が「認定」を受けているかは、どこで分かりますか?
医療・介護・保育分野の適正な有料職業紹介事業者として認定された紹介会社は、公表されています。認定を受けた紹介会社は、認定のマークを使えるので、ホームページや資料で確かめることもできます。
まとめ
看護師の紹介手数料は、紹介会社が国に届け出た手数料表で決まるのが一般的で、法律上の率の上限はありません。厚生労働省の調査では、紹介会社が答えた看護師・准看護師の手数料率の中央値は20%でした。契約の前には、率だけでなく計算の基準になる年収の定義、返戻金、違約金の規約まで確かめ、人材サービス総合サイトで紹介会社ごとの実績も見比べると判断しやすくなります。
自社が紹介手数料にどれだけ払っているか、ほかの経路と比べてどうかを整理したい場合は、私たちの「採用費用の点検」をご利用ください。紹介手数料・媒体費・担当者の時間を並べて、経路ごとに比べた結果をお返しします。